あめりか芋をたのしむ あめりか芋をひとりでも多くの方に知っていただきたい・・・ 島のひとびとによる、さまざまなあたらしい取り組みをご紹介します。

あめりか芋をつかったあれこれ

干飯(ほしい)
芋餅
芋粉
ビスコッティ
芋焼酎
こうきびんす
かりんとう
   

※クリックするとそれぞれの詳細がご覧いただけます。

サツマイモの保存食「干飯(ほしい)」

新島では、冬場に吹く激しい西風のことを、「西ん風(にしんかぜ)」と呼びます。この風は12月ごろから吹きはじめ、冷たい強い風が数日間にわたり吹き荒れることもたびたびあります。この「西ん風」が吹くと、海は荒れ漁に出られなくなり、また畑の表土を飛ばすなど、島の生活に困難をもたらしますが、島の先人たちはこの風をうまく利用して、様々な保存食などもつくってきました。

そのうちの一つが、このサツマイモの保存食「干飯」です。

「干飯」のつくり方は、
・サツマイモを蒸かす
・蒸かしたサツマイモを肉スリ器でひき肉のような形状にする。
・それを「エンガワ」と呼ばれる長方形の干し籠に広げ、「西ん風」にあてる。
・数日間風にあて、カラカラに乾かし、袋に入れて保存する。
このような工程でおこなわれます。

冷たい「西ん風」にあてることで糖度が増した「干飯」。この「干飯」は様々な料理やお菓子をつくるためのベースとすることができます。かつて冷蔵庫がなかった時代、新島ではどこの家でもこの「干飯」をつくっていたそうです。

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島の知恵 「芋餅(いももち)」

サツマイモを使った伝統的な新島のお菓子に「芋餅」があります。

この芋餅は、餅の部分に、蒸かしたもち米と干飯を混ぜこみ作られる点が特徴で、新島では祝いの日には欠かせないお菓子の一つでした。

現在では、干飯ともち米の分量は1対1ぐらいですが、かつてもち米が高級で入手しにくかった時代には、干飯の分量のほうが、はるかに多かったといわれています。

須貝紀代さんとお母さん(93歳)に実際につくっていただきました。おふたりは、毎週木曜日に芋餅をつくり、JA新島店の直売コーナーへ出品しています。

◆材料
干飯、もち米、あんこ

◆つくりかた
・もち米と、干飯を別々に蒸かします。
・蒸かしあがったもち米と干飯を臼(餅つき器)に入れつきます。
・つきあがったものを、片栗粉を振った台に乗せ、大福餅の大きさに切り分け、あんこを入れてまるめます。

春には、ヨモギも入れて「ヨモギ芋餅」をつくったりもします。


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「芋粉」とその復活

かつて新島では、多くの家庭でサツマイモの粉(澱粉)をつくっていました。この粉は「芋粉(いもこ)」と呼ばれ、団子などにして食べたそうです。 

芋粉は、蒸かしたサツマイモををスライス器で薄く切り、「エンガワ」という長方形の干し籠に広げ乾かした後、カラカラに乾いたものを粉砕して粉にしてつくられます。

島外から簡単にさまざまな食材を購入できる時代となり、手間のかかる芋粉づくりはしばらく行われなくなっていましたが、この芋粉が、2010年復活しました。

2009年新島ではあめりか芋が増産されましたが、その時に販売できなかった傷芋などを活用して、「あめりか芋」の芋粉つくりがはじまりました。 JA新島店の理事でもある大沼光吉さんが中心となって、「芋粉」つくりに挑戦しています。できあがった「芋粉」はJA新島店の直売コーナーにて販売されています。

「芋粉」をつくっている大沼光吉さん。
現在、この「芋粉」をつかった加工品のアイデアを募集しています。


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あたらしい出会い「芋粉ビスコッティ」

あめりか芋の「芋粉」をつかった料理やお菓子のアイデアを募集していますが、島内の民宿&カフェ「saro(サロー)」のスタッフ、松岡静江さんがこの粉を使って「ビスコッティ」を焼いてくれました。

ビスコッティは、イタリアのトスカーナ地方の郷土菓子とのことですが、イタリアのお菓子のアイデアと、新島の芋の粉の出会いというところが、とても面白いですね。

松岡さんによると、芋粉は小麦粉よりもポロポロとするため、あまり量を加えると成形できなくなってしまい、またあまり少ないとせっかくのあめりか芋の味や香りがしなくなってしまうため、その絶妙な配合を見つけるのにはとても苦労したそうです。

数々の試作を重ね、完成したビスコッティ。この新たな名物は、ときどきsaroのメニューに加わります。

saroは、使われていなかった古い民宿の1階をカフェに、2階を民宿としてリノベーションし、2009年にオープンしました。地域のコミュニティーカフェとして様々な人が集い、繋がる場所にもなっており、新島の新しい可能性についてのアイデアが生まれる場所でもあります。

関連情報  

カフェ+宿 saro(サロー)

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あめりか芋の焼酎「嶋自慢 芋」

伊豆諸島のほとんどの島々には、焼酎メーカーがあって、オリジナルの焼酎を醸造しています。新島では「(株)宮原」が、「嶋自慢」という麦焼酎を製造しています。そんな宮原さんが、2003年の秋から新島や式根島の「あめりか芋」を使った芋焼酎もつくりはじめました。

醸造方法を研究し、また原料の芋集めに苦労しながらも、「地元のあめりか芋で美味しい焼酎をつくりたい」という信念で宮原さんは芋焼酎づくりに、挑戦しつづけています。

そして「あめりか芋の焼酎」は、平成18年度の東京国税局が主催する焼酎の鑑評会(東京都・神奈川県・山梨県・千葉県の焼酎が対象)で、優秀賞を受賞しました。

そのような「(株)宮原」のみなさんの努力が、現在の新島ですすめられている「あめりか芋振興」のきっかけの一つとなっています。


関連情報

宮原酒造ホームページ

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芋の甘納豆「こうきびんす」

「新島のサツマイモを使ったお菓子をつくりたい」という想いで、須貝紀代さん(67歳)は、4年前から 「こうきびんす」という商品をつくっている。

須貝さんは、この商品を生み出すにあたって、埼玉県川越市に出かけ、老舗のサツマイモ菓子店「東洋堂」さんから、指導をうけたそうです。その時教えてもらったお菓子の一つが芋の甘納豆。 サツマイモを砂糖汁で煮出したお菓子で、保存性もよく、お茶にはにはうけピッタリの味です。

新島では昔から、粉っぽい芋のことを「こうき」と呼び、またねっとりした芋のことを「びんす」と呼びました。その二つをつなげて商品名としています。

「こうきびんす」は、JA新島店の直売コーナー他、島内の土産物店や空港の売店などで販売しています。

なつかしい味「芋のかりんとう」

昔からの新島の子供たちに愛されてきたサツマイモのお菓子に「芋のカリントウ」があります。

これはサツマイモをフライドポテトのような細長い四角柱の形に切ったものを、油で揚げ、砂糖にまぶしたお菓子です。揚げたてのサツマイモに砂糖をまぶすと、砂糖が熱で溶け、カリントウのように照かります。

小谷克子さんは、JA新島店のセールや村のイベントがあるときなどに、この芋のカリントウをつくり出品してくれます。

食べはじめると、知らぬ間に手が伸びて、やめられなくなる味です。 カラッと揚がったものを、砂糖をつけずにサツマイモの甘味だけで楽しむこともできます。

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