「芋フェスタ2009」に続き、今年度も芋フェスタの開催を計画しています。
今年度のテーマは、「お土産や贈答品に喜ばれるあめりか芋の加工品を作ろう」です。
2010年7月新島では新しい船客待合所がオープンしました。その待合所のなかにはお土産を買えるコーナーがあり、島の水産加工業者たちや加工品生産者が自分の商品を来島者へ販売しやすくなりました。同時に、来島者サイドも買いもとめやすくなっています。
また島民は、島外に住む身内や親戚、知人へ島のものを送ることが多く、送り先に喜んでもらえる島の贈答品を求めます。ただ島の原料を使った加工品などの種類は豊富とは言えず、島民からはもっと新島ならではの加工品が欲しい、との声があります。
そのような状況から、あめりか芋生産農家より「船客待合所で販売したり、贈答品に使ったりしてもらえるようなあめりか芋の加工品をつくりたい」との意見がでてきています。
そこで「芋フェスタ2010」では、お土産や贈答品にむきそうなあめりか芋の加工品のコンテストを開催することを計画しています。コンテストについては中学校や高校へも呼びかけ、参加に前向きな声もいただいています。
多くの方に参加・出品してもらい、その中から多くの方に喜んでもらえる加工品が生まれてくるイベントになるよう、関係者で協力しながら準備を進めていきたいと思っています。
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6月9日に立川市で開催された「2010年東京都農林水産技術交換会」にて、新島でのあめりか芋振興についての取り組みが最優秀賞に輝きました。
この大会は、東京都農林水産振興財団の農業者育成の助成事業を受けた若手農業者組織が1年間の研究成果を発表するもので、昨年度この支援を受けた「新島農業研究会<SunSun(サンサン)>」がその成果をプレゼンテーションしました。
タイトルは『新たな換金作物としてのあめりか芋栽培〜焼酎用サツマイモの増産とその後作の検討〜』。発表者はあめりか芋栽培農家の大沼剛さん。
2009年度からスタートした機械化によるあめりか芋栽培の増産と焼酎向け原料の供給についてと、あめりか芋栽培の後作のタマネギ生産と都内スーパーへの販売について紹介しました。
審査員からは、「地域が直面する課題をよく研究しており、研究成果が地域のつながりや活動に生かされている」などの講評がありました。
この優秀賞の受賞というのは大変な快挙で、新島の農業と農家にとって元気を与え、また「自分たちのやっていることは間違っていない」という勇気を頂きました。
当然村内の居酒屋で開かれた祝賀会が、大いに盛りあがったということはいうまでもありません。
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2004年から新島高校の3年生たちがあめりか芋づくりに挑戦しています。その目的は、自分たちの成人式を、自ら栽培したあめりか芋を原料とした焼酎で祝いたいということ。
この企画の発案は、新島高校の生物の先生。ふれあい農園が高校生に芋栽培の畑を貸して、栽培技術を指導することとなりました。
はじめ4〜5名ほどの高校生たちからはじまったこの活動は、今では新島高校3年生全員が参加するプログラムとなり、伝統的な取り組みに成長してきています。
2010年は3年生全員の23名が参加。土を耕すこと、肥料を施すこと、畝を立てること、そして苗を切り植えることのすべてを自分たちの力でやっています。
ところで2010年1月3日に村内で開かれた成人式では、2008年度に高校を卒業した青年たちが成人を祝いました。式典の会場では、その新成人自身が栽培したあめりか芋からつくられた焼酎が各自に手渡され、祝いの酒として酌み交わされました。
彼らの人生の1ページに刻まれ、また彼らの門出を祝えるよう、これからもこの伝統を続けていきたいと思っています。
平成21年12月5日、サツマイモのイベント「芋フェスタ2009」が新島村の青葉会館を会場に開催されました。
このイベントは、新島村のサツマイモ振興をすすめるもの、「より多くの村民にあめりか芋栽培に興味を持ってもらうこと」また「販売をめざしたあめりか芋栽培に取り組んでもらうこと」を目的としていました。
「芋フェスタ2009」は、次の4部構成でおこなわれました。
第1部 サツマイモの創作料理の紹介
第2部 (1)あめりか芋による農業振興の取り組みの紹介
(2)あめりか芋栽培農家から結果報告
(3)サツマイモ振興をすすめる先進地事例の紹介(愛媛県新居浜市大島)
第3部 元川越市サツマイモ資料館館長の井上浩氏の講演会
第4部 サツマイモの品評会
第1部は、「サツマイモを使った新しい料理やお菓子を提案してもらうこと」をテーマに開催されました。
村内でケーキ製造をしている植松朋江さんは、「サツマイモマフィン」と「サツマイモクッキー」をつくり紹介してくれました。
また新島村郷土料理研究会さんは、「サツマイモのシャーベット」と「サツマイモの団子」をつくり紹介してくれました。
第2部(1)では、ここ数年すすめられている「あめりか芋」の生産・販売・加工の流れや行政サイドからの支援内容について、それぞれの関係者が発表をおこないました。
発表者は、新島村農業委員会、新島村農政係、新島農業研究会、JA新島店、新島村ふれあい農園、島しょ農林水産総合センター、そして(株)宮原でした。
新島村内での農地借用から生産・販売までの一連の流れは以下の通りです。
なおカッコ内は、それぞれの項目に関わる関係機関です。
(1)農地の借用(新島村農業委員会)
村内で農産物を栽培するための農地を借用する場合は新島村農業委員会に相談します。
そして農業委員会は貸し手と借り手の間に入り調整や手続きをおこないます。
(2)農地・圃場の整備(新島村農林水産係)
農地を開墾・整備するための重機やトラクターを新島村では村民へ貸し出します。
また村では各種補助制度も用意しており圃場整備などに活用することができます。
(3)イモ苗の植え付け前準備(JA新島店、新島農業研究会)
畝たてやマルチはりを農作業管理機でおこないたいときには、
新島農業研究会へ作業を委託することができます。
(4)植え付け・栽培(新島村ふれあい農園、東京都島しょ農林水産総合センター)
新島村ふれあい農園ではあめりか芋の苗を供給しています。
また栽培技術や病害虫の相談には東京都島しょ農林水産総合センターの普及員が対応します。
(5)収穫・一次選別(新島農業研究会)
収穫を農作業管理機でおこないたいときには、新島農業研究会に作業を委託できます。
また収穫したあめりか芋の一次選別(傷芋や虫による食害をうけた芋などを除く)も
委託することができます。
(6)直売用あめりか芋と焼酎用あめりか芋の選別(JA新島店)
二次選別(直売用の芋と焼酎用の芋、また販売できない芋の選別)をJA新島店でおこないます。
(7)焼酎製造(株式会社宮原)
焼酎用芋として選別されたあめりか芋は(株)宮原によって芋焼酎の製造に利用されます。
そして翌年7月に製品が完成します。
比較的広い畑で販売を目的にあめりか芋を栽培している農家5名(前田忠徳さん、森田一さん、宮川寅男さん、大沼光吉さん、藤井義信さん)が、2009年の栽培結果を発表してくれました。
それぞれの農家より成果と課題が紹介され、あめりか芋の栽培に興味を持っている方にはとても参考になったようです。
愛媛県新居大島は人口400人弱、島の面積が2キロ平方メートルの小さな島です。この島では新島と同じあめりか芋(新居大島では「七福」と呼ぶ)を栽培し、この芋で島の活性化をはかろうとしています。
この島でも新島と同じように、あめりか芋による焼酎製造を行っており、また生食用の販売や芋を使った加工品開発に力を入れています。
新島でのあめりか芋振興においても参考となる事例が豊富にあることから、農業改良普及員の高橋さんが現地を視察し、その報告をしてくれました。
井上先生は日本の芋研究の第一人者。川越市サツマイモ資料館の館長を長年務め、芋づる式に集まったサツマイモの知識や人脈が大変豊富な方です。
今回の講演会のテーマは、「あめりか芋による島おこし」。あめりか芋が交配用新種として重用された歴史や、あめりか芋焼酎の魅力、あめりか芋の蒸し切り干し加工の可能性、青果用としての販売の取り組みについて話をしてくださいました。
サツマイモの品評会は、形も大きさも素晴らしい「優秀部門」と、変わった形や巨大に育った「ユニーク部門」の2部門で品評会がおこなわれました。
優秀部門を受賞されたのは、
金賞:植松摂さん
銀賞:前田稔さん
銅賞:大沼正彦さん
の3名です。
ユニーク賞は、
金賞:藤井義信さん 銀賞:梅田久八さん 銅賞:新島小学校1年生のみなさん
が受賞されました。
新島村の認定農業者やJA組合員などが中心となって「新島農業研究会<SunSun(サンサン)>」という農家グループをつくっています。
この農家グループでは、今後希望者があれば、サツマイモ栽培のための畝たてや収穫作業を受託するという方針をたてました。高齢化で芋づくりができない農家や、遊休農地を活用したいけれど人手が必要な畑の所有者に代わって、作業をおこなってくれます。
また「新島農業研究会<SunSun(サンサン)>」は、焼酎原料以外の「あめりか芋」の販売方法を模索したり、傷芋などをスライスし乾燥させ芋粉(※)にしたりするなど加工品開発にも挑戦しています。
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平成21年(2009年)の春、JA新島店では「新島村農業振興支援金」)を利用して、農作業管理機を導入しました。
この管理機にアタッチメントをつけると、畑の耕うん・畝たて・土壌消毒・マルチ張りを一工程で終わらせることができます。また収穫も、芋掘り上げ用のアタッチメントを装着することで、作業がたいへん楽になりました。
その結果、焼酎原料向けに「あめりか芋」を栽培する農家が新規に2名増え、遊休農地も4反歩開墾され、島内全体の収穫量も増えました。
それまで「あめりか芋」の栽培というと、手グワでの畝たてや、収穫があたり前でした。しかし販売を目的とする生産となると、機械化しをすすめて、労働力の省力化、労働時間の縮小をおこなう必要がありました。
今回のJA新島店による農作業管理機の導入は、そうしたニーズに大変マッチしたものだったと思います。
平成15年(2003年)の秋に、新島の焼酎メーカーの「?宮原」(※1)が、JA新島店の冷凍庫に貯蔵されていた島のサツマイモを使って芋焼酎(※2)
をつくりました。
その翌年以降は、その秋に収穫された「あめりか芋」を買い集め焼酎づくりをしてきましたが、原料となる「あめりか芋」はなかなか思うように集まりませんでした。それはこの「あめりか芋」が、換金目的ではなくて、自家用や贈答用に栽培されていた芋であったので、生産者のあいだでも余剰の「あめりか芋」はあまりなかったからでした。
そのような状況が、平成20年(2008年)まで続きましたが、平成21年(2009年)には、「あめりか芋」が増産されるようになり、その年は前年の倍以上の3.6トンの芋を焼酎原料として仕込むことができました。
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