診療所便り~Vol.15~ レントゲン 7つの聞きたいこと
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レントゲン7つの聞きたいこと 三好謙一
日本という国は、原子爆弾によって多くの人命が失われた唯一の国です。
そして戦後70年を経た今でも「放射線に対する感心が高い」という国民性を持っています。しかしながら、放射線に関しては「おかしな噂(うわさ)や、危険というイメージ」が先行してしまい「正しい知識や情報を持ってない」という方、まだ多いのではないのでしょうか?
本日は「普段、ちょっと聞きにくい」という質問に「レントゲン7つの聞きたいこと」と題して、お答えします。
①質問)「レントゲンって何ですか?」
⇒①答え)レントゲンとは、X線発見者の名前で「ヴィルヘルム・レントゲン(先生)」が正式名称
解説>
・本来、レントゲンとは「X線発見者の名前」をさしているのですが親しみやすい言い方で
「放射線による一般撮影検査」を「レントゲン撮影」や「レントゲン写真」と表現することがあります。
・放射線の取り扱いに特化した資格として「診療放射線技師・エックス線作業主任者・ガンマ線透過写真撮影作業主任者」という3つの国家資格が存在します。(レントゲン技師というのは存在しません)
・レントゲン先生が「X線」を発見したのは「1895年11月8日」
その10年前の「1885年」から、ベンツという車がガソリンで動いていました。
発見から100年ほどの「歴史が浅い分野」なのです。
②質問)「そもそも放射線って何ですか?」
⇒②答え)放射線=【目に見えない光のようなもの(電磁波の一種)】
<②の解説>
・放射線には、いくつかの種類があります。「X線(エックス線)」・「γ線(ガンマ線)」どちらも医療で使用する放射線の一種です。
③質問)「レントゲン写真って、どのくらい撮影しても平気ですか?」
⇒③答え)「一度に約3800枚」=「ほとんどの臨床症状は無い」とされる(理論値)
<③の解説>
臨床症状は無くても無益な被ばくは、できるだけ少なくするべきです。
④質問)【医療被曝(被ばく)】って何ですか?
⇒④答え)【医療被曝(被ばく)】とは、病院や診療所などで検査や治療の時に受ける放射線によるものです。
<④の解説>
検査や治療による医療被曝に対して、自然放射線による被曝を「自然被曝」と呼びます。
⑤質問)「その自然被曝って、何から被曝するの?」
⇒⑤答え)自然放射線=「宇宙・大地・食物・空気」などの中にある微量放射性物質からの放射線によります。
<⑤の解説>
自然放射線=生活しながら、いつも受けている自然界からの放射線のことです。
原稿を書いている私も、そしてあなたも、いま、自然界から放射線を受けながら生活しています。
⑥質問)胸部レントゲン撮影、ニューヨークへの旅行「どちらが多く被曝しますか?」
⇒⑥答え)「ニューヨーク旅行(往復)の方が多い」
<⑥の解説>
自然放射線(主に宇宙から)により、胸部レントゲン撮影よりニューヨーク旅行(飛行機による往復)の方が多く被曝します。
⑦質問)よくニュースで聞く「放射能もれ」って、間違っていませんか?
⇒⑦答え)「放射能もれ」という表現は「間違い」です。
<⑦の解説>
懐中電灯を例にして説明しますと、まず懐中電灯そのものが「放射性物質」(放射線発生装置など)、そして懐中電灯から出る光が「放射線」、その光を出す能力が「放射能」となります。
つまり「放射能」とは「放射線を出す能力の事」で「もれるもの」ではないのです。
⇒漏れるのは「放射性物質」(または放射線)となります。
自動車より歴史の浅い放射線の世界 まだまだ未知の発見が隠されているのではないのでしょうか?
2015年12月 三好謙一
新島村国民健康保険本村診療所
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