診療所便り~Vol.17~認知症と囲碁
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囲碁で認知症予防!? 岡田祐樹
皆さんは『囲碁』と聞くとどんなイメージを持つでしょうか?ルールが分からない、難しそう、地味、おじいちゃん達がやってた…等でしょうか。囲碁をやった事がない方にはとっつきにくいと思われているかも知れません。若い世代には『ヒカルの碁』なんかが有名ですね。自分も読んでいました。今回はそんな囲碁の魅力について語りたいと思います。このコラムを読んで1人でも囲碁に興味を持ってくれる人が増えれば幸いです。
自分と囲碁との出会い
自分は高校2年生の時に初めて囲碁に興味を持ちました。といっても最初の動悸は不純なものでしたが(笑)。同級生に数学オリンピック3年連続金メダルというとんでもない奴がいて、何とかお近づきになりたいなと思っていた所、そいつが囲碁部である事が分かり囲碁をやれば接点が増えるなぁと(笑)。そんな訳で始めた囲碁でしたが、やってみると石を取る楽しさもあり徐々にはまっていきました。大学入学時点では初段に少し足りない程度でしたが、大学時代に毎年一段ずつ上がっていき、卒業の頃には五・六段(日本棋院幽玄の間での棋力)になっていました。その後研修医時代はお休みしていましたが、前任地の小笠原諸島母島でいそしみ、ついに同七段に到達した時はとても嬉しかったのを覚えています。
囲碁の魅力
囲碁はレベルに応じた楽しさがあるのですが、自分の場合は初段、3.4段、5.6段でまた違った世界が見えてきて何て面白いゲームなのだろうと思いました。今でさえも分からないことだらけで、プロの人たちがこう打っているのだからきっと正しいだろうという域にしか達していません。『碁キチ』という言葉があるように、知れば知るほどその深さ・面白さが増していく囲碁というゲーム、他のサイトでは以下の8つの効用があると言っています(※1)。
一、『基本を理解し、練磨して工夫することの重要さを学ぶ』
二、『状況を判断して、自分の責任で決断し実行した事の結果に責任を持つ習慣が身につく』
三、『見えているのにみえていないことがあると自覚できる』
四、『欲張ると破綻することを実感できる』
五、『正しい大局観と、正しい局所判断を両立できるようになる』
六、『先を読む力が養える』
七、『考える習慣が見につく』
八、『負ける経験を積める』
自分の場合を考えてみても『確かに!』と頷けるものばかりですね。
囲碁で認知症予防!?
さて、そんな囲碁ですが、先日NHK Eテレの日曜12:30からやっている『囲碁フォーカス』という番組を見ていたら囲碁と認知症についての特集をやっていました。
その中及び全日本囲碁協会のコラム(※2)で脳神経内科の飯塚あい先生が以下のような事を述べていました。
・認知症の予防には、脳の前頭葉(前頭前野)の活性化が有効であると言われている。
・前頭前野には思考力、コミュニケーション力、注意・集中力、意思決定をする能力などの役割があるが、認知症患者さんは、この前頭前野の機能が低下している。
・前頭前野を活性化するツールとして、パズルゲーム、計算、音楽等、園芸など様々な取り組みがされていて一定の成果を上げている
・囲碁はパズルゲームに似ており、囲碁を打つ際には、前頭葉が活性化される事が分かっている。
・浜松医療センターの金子満雄氏の研究では、碁を打つ高齢者と打たない高齢者を比較すると、圧倒的に碁を打つ高齢者の方が認知症になる確率が低いという結果が出ている。
・東北大学の川島隆太教授の研究では、囲碁を知らない子どもに囲碁を教えることによって、数か月後には思考力、短期記憶力、総合的な作業力が向上し、脳の前頭前野(注意力、集中力などを司る部位)が活性化することが証明された。
簡単にまとめると上記のような内容になります。本当はもっと詳しく述べているので、興味のある方は下記リンクから覘いてみてください。
このように、囲碁は強くなればなるほど面白くなり、また認知症予防にもなる魔法のようなゲームです。これを機に皆さんも囲碁を始めてみてはいかがでしょうか?
※1 齋藤信 囲碁の効用と作業療法 http://otjyuku.net/blog/2010/07
※2 飯塚あい 囲碁の医学的効用(1)-(5) http://zengokyo.blog.fc2.com/blog-entry-11.html
2015年2月 岡田祐樹
新島村国民健康保険本村診療所
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